福祉について




かつて福祉の対象者は主体のない貧しい人々でした。経済の発展と福祉国家の誕生によって、現代の社会では基本的人権のもとに人は皆個人として尊重されなければならないはずです。でも、高度に発展した社会は複雑な環境を生じ、それに適合して生きていかなければならなくなりました。労働は肉体よりも精神を酷使するようになり、過労や母親の労働による子育てや家事とのストレスも問題になっています。お年寄りにとっても長寿社会は必ずしも幸福を意味しません。子どもたちもストレスにさらされ、不登校や心の病の問題もあります。障害がある人も個人として尊重され社会の中で生きて行かれるようになってきてはいるのですが、その人その人に応じた社会の援助も国家の制度もまだ不足して、全ての人にとって生き難い世の中なのかもしれません。

福祉とは
福祉とは社会の全ての人が幸福で安定した生活を営むことです。したがって社会福祉というのは、個人や家族だけでは解決することのできない生活上の問題や課題を解決していくことをを目的に、社会的に行う取り組みー住民自身による相互扶助や援助活動、住民の生活を支えることを目的にした政策・制度などーの総称といえます。

日本国憲法第25条には「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあります。これは社会権の中の生存権です。この考え方から社会福祉という言葉が使われるようになりました。

社会福祉の対象は個人ということになりますが、むしろ考え方としては、個人と社会制度の間に取り結ぶ「社会関係の主体的側面の欠如」(社会関係の不調和、社会関係の欠如、社会関係の欠陥)であり、社会福祉はこれらを調整する機能の体系と捉えることができます。弱者あるいは保護対象としての人間から、主体としての人間という視点に立って生活を築いていくように考えていくことが大事です。

まず第1には「基本的欲求を充足する」ということがあります。つまり睡眠、食事、排泄などの生命を維持するための条件を満たすことです。従来の福祉の領域では、身体的、精神的、経済的、社会的にハンディキャップのある人たちに対して、こういった部分での援助を行ってきました。でもそれだけではありません。教育や社会参加、文化や娯楽の機会を得るということも生活としては必要なことです。そしてまた人間にとっては、基本的欲求や社会生活の基本を満たしていたとしても、それが自分自身の欲求であり、自分自身で考えて行っているということが大切です。生活を自分で作ってより良い自分に向上していくために自分で決定していく(自己実現)ように支えていくことが福祉に求められています。


地域福祉について
地域福祉の基本的な考え方には「ノーマライゼーション」と「インテグレーション」そして「参加と住民主体」があります。「ノーマライゼーション」とは障害者の人権の確立を目指す思想と運動ですが、障害者などの弱者がいる社会こそノーマルだという意味も持っています。1960年台にデンマークから北欧を通して広まってきました。1970年代にはアメリカやイギリスで脱施設化の運動などがおこり、それが各国での障害者を主体とした考え方や政策に結びついてきました。日本では昭和45年の心身障害者基本法の中で「全ての心身障害者は、個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するものとする」と定められました。実際には1981年の国際障害者年の「完全参加と平等」などのスローガンを通して国民の間に広まりました。

「インテグレーション(統合化)」とは、高齢者や障害者が地域住民や一般社会の社会的活動から隔絶されないように、法的、物理的、精神的な壁を取り払い、ともに市民的生活を営むための共生の原理であり、どんな人も分け隔てない社会の仲間として一緒に生活していくシステムが形成される状態です。

「参加と住民主体」という考え方は、ノーマライゼーションとインクルージョンを実現するための重要な条件です。


障害者の日とは
障害者基本法(心身障害者対策基本法から名称変更)に、障害者の日は12月9日と定められています。
「第6条の2 国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めるため、障害者の日を設ける」
12月9日という日は、1975年12月9日、国連が「障害者の権利宣言」を採択した日です。1981年の国際障害者年(テーマは「完全参加と平等」)を記念して障害者問題について国民の理解と認識を一層深め、障害者の福祉増進を図るため設けられました。ボランティア展は1997年の第1回から12月9日の障害者の日に行ってきましたが、2002年からはこの日の前後の土曜日に行っています。


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