障害について


■障害とは
障がいについては国際連合の専門機関である世界保健機構(WHO)での考え方が使われています。個人的な原因や、社会的な環境により、「心や体に障害がある」、「活動に制限がある」、「社会的な参加ができにくい」、ということが言えます。障害には、身体障害、精神障害、知的障害、そして加齢によるものがあります。障害があるということは、長期にわたって日常生活や社会生活に相当な制限を受けることになり、いろいろなバリアが存在するということに繋がります。バリアには、物理的・制度的・精神的・社会的なバリアがありますが、これらをなくしていかなくてはなりません(バリアフリー)。障害者の中で一番多いのは身体障害者であり、精神障害者がそれよりやや少なく、3番目に知的障害者になっています。この中でほぼ90%の人々が、施設や病院ではなく在宅で暮らしています。

人それぞれが体格や性格が違うように、障害も1つの個性とみて、特別なニーズはあるけれど偏見や特別視することにない社会になってほしいですね。


■身体障害
身体障害とは身体障害者福祉法によって、肢体不自由(上肢、下肢、体幹、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害)、視覚障害、聴覚または平衡機能の障害、音声機能・言語機能またはそしゃく機能の障害、、内部機能の障害(心臓、腎臓、呼吸器、ぼうこうまたは直腸、小腸、ヒト免疫不全ウィルスによる免疫機能障害認定されていて、1級から7級までの等級があります。

平成13年6月の厚生労働省調査では、全国の18歳以上の身体障害者数(在宅)は、3,245,000人と推計されています。これは、前回調査(平成8年11月)の2,933,000人と比較すると、10.6%増加していることになります。視覚障害、聴覚・言語障害はほぼ横ばいであり、肢体不自由5.6%増、内部障害は36.7%増でした。また障害の種類別にみると、視覚障害が301,000人、聴覚・言語障害が346,000人、肢体不自由が1,749,000人であり、肢体不自由者が全体の53.9%を占めています。身体障害の原因では、疾病によるものが26.2%、事故によるものが17.0%、加齢によるものが4.7%、出生時の損傷によるものが4.5%です。


■精神障害
精神保健福祉法では、精神障害者とは「統合失調症(2000年に精神分裂病から名称が変わる)、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者」となっています。

精神病に対しての人々の見方はまだ特別視であり、特に統合失調症に対しては偏見があるようですが、事件を起こすのは薬・治療やソーシャルケアを受けていない場合であり、十分な治療を受けると普通に生活ができます。

精神病の原因には、精神的ストレスであり引き金にもなってしまう「心因」、遺伝的体質などまだ良くわかっていない部分である「内因」、器質的な損傷による「器質因」があります。

<統合失調症> 「統合失調症」とは、以下のような特徴を持った精神障害のひとつです。
  1. 統合失調症とは、直接の原因がないのに考えや気持ちがまとまりにくくなり、そのために本人が困難や苦痛を感じたり、回復のために治療や援助を必要とする状態を指します。実際には、いくつかの異なった病気の集まりであろうといわれています。失調というのは、一時的に調子を崩したという意味で、回復の可能性を示します。
  2. 根本的な原因はまだわかっていませんが、何らかの脳の機能異常と心理社会的なストレスなどの相互作用が関係すると考えられています。
  3. 日本全国で67万人の患者さんが治療を受けておられます*)。また、一生の間にこうした状態になる率は、およそ100人に1人とされています。  
  4. まとまりきれない心の内容が、現実とは異なった形を取り、幻覚や妄想となることがあります。これは脳内の情報伝達物質がバランスを失ったためで、その多くは薬が効きます。幻覚や妄想は、他の病気にも見られるものです。
  5. 薬や心理社会的な介入による新しい治療法が普及し、社会参加をめざしたリハビリテーションも進歩しました。早期に適切な治療を行うことによって、今では多くの患者さんが回復し、社会参加しています。ただ、一部には疲れやすさや神経の敏感さが残ることもあります。
  6. どうやって社会参加を支援していくのかということが、これからの課題です。そのためには心ない偏見を無くしていくことが重要です。
    (日本精神神経学会「精神分裂病の呼称変更委員会」作成)


■知的障害
知的障害福祉法では知的障害者の定義は特にされてはいませんが、平成7年の精神薄弱児者基礎調査では、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)に現れ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にある者」とされています。文部科学省の定義では、「種々の原因により、精神発達が恒久的に遅滞し、このために知能力が劣り、自己の身辺の事柄の処理、および社会生活への適応が著しく困難なもの」であり、厚生労働省の定義では、「先天性、出生時、または出生後初期における何らかの原因により、精神発達が持続的に遅滞した状態。心身の発達期(おおむね18歳まで)に現れた生活上の適応行動を伴っている知的機能の障害を示す状態」となっており、1つの定義では定まっていません。

日本においては、平成11年4月1日から、それまでの「精神薄弱」という言葉から「知的障害」に改められました。行政用語としての知的障害に対して、医学的な用語では精神遅滞です。精神遅滞は知能の全般的な発達の遅れとなり、それに伴って社会生活への適応能力も低いままに留まります。評定はさまざまな生活能力を総合的に検討します。
中枢神経に問題を有する脳障害児には、精神遅滞、運動障害(脳性まひ)、てんかん、行動異常(自閉症)、感覚障害(盲・聾)に大別されますが、これらの中では、精神遅滞が一番多く、しかしこれらのものがいくつか重なり合って出現している場合もあります。

<DSM−W>(アメリカ精神医学会・精神障害の診断と統計マニュアル)による分類では、幼児期、小児期または青年期に初めて診断される障害の中に精神遅滞がある。精神遅滞の定義としては以下の通りです。
  1. 明らかに平均以下の知的機能:個別施行による知能検査で、およそ70またはそれ以下のIQ(幼児においては明らかに平均以下の知的機能であるという臨床的判断による)。  
  2. 同時に、現在の適応機能(すなわち、その文化圏でのその年齢に対して期待される基準に適合する有能さ)の欠陥または不完全が、以下のうち2つ以上の領域で存在:意思伝達、自己管理、家庭生活、社会的/対人的技能、地域社会資源の利用、自律性、発揮される学習能力、仕事、余暇、健康、安全  
  3. 発症は18歳未満である。
    
317 軽度精神遅滞 IQレベル50‐55からおよそ70
318.0 中等度精神遅滞 IQレベル35‐40からおよそ50‐55
318.1重度精神遅滞 IQレベル20‐25からおよそ35‐40
318.2 最重度精神遅滞 IQレベル20‐25以下
319 精神遅滞、重症度は特定不能 精神遅滞が強く疑われるがその人の知能が標準的検査では測定不能の場合(例:あまりにも障害がひどい、または非協力的、または幼児の場合)



<ICD−10>国際疾患分類第10回改訂版では「F7精神遅滞」として分類されてい1ます。
    
F70 軽度精神遅滞 IQレベル50から70程度
F71 中等度精神遅滞 IQレベル35から50程度
F72重度精神遅滞 IQレベル20から35程度
F73 最重度精神遅滞 IQレベル20未満
F78 他の精神遅滞
F79 特定不能の精神遅滞


<AAMR>アメリカ精神遅滞学協会(AAMR)は1992年にそれまでの全般的知能機能が有意に平均より低く、同時に適応行動の障害を持っており、かつ、発達期に明らかになるものを指すという定義を見なおして、精神遅滞は個人の絶対的特性ではなくして知的制約を持つ人びととその環境とのあいだの相互作用により表現されるという定義の基本的考えかたの変更を行いました。定義としては、「精神遅滞とは現在の機能の実質的な制約を指す」、となっており、以下のような特徴があります。
  1. 平均より有意に(明らかに)低い知能機能  
  2. 1と同時に存在する2つ以上の関連する適応技能の制約。適応される適応技能は、コミュニケーション、セルフ・ケア(身の回りの動作、身辺処理)、家庭生活、社会的技能、地域社会の利用、自己指南、健康と安全、機能的学習能力、余暇、仕事。  
  3. 18歳以前の発症  
   
<知的障害の原因>アメリカ精神遅滞学協会(AAMR)では以下の分類をしています。
  1. 感染および中毒によるもの〜風疹症候群、梅毒、妊娠中毒
  2. 外傷あるいは物理的因子によるもの〜出産障害、薬物、放射線障害
  3. 代謝あるいは栄養障害によるもの〜代謝、栄養および内分泌障害(フェニールケトン尿症)等によるもの
  4. 粗大な脳疾患によるもの〜無脳症、小頭症、結節性硬化症など腫瘍や遺伝性疾患を含むもの
  5. 未知の出生前の影響〜出生前にその原因が作用されたと推定される脳や頭蓋の奇形によるもの
  6. 染色体異常によるもの〜ダウン症候群などの染色体の数や構造の異常なもの
  7. 周産期に生じるその他の状態〜出生時の破水、呼吸困難、極度の未熟児などでそれ以上原因が明らかでないもの
  8. 精神障害に続発するもの〜小児精神病などの精神障害によるもの
  9. 環境的影響〜アベロンの野生児やインドの狼少年のように、発育期に適当な教育や栄養を受けないため発育しない場合
  10. その他の状態によるもの〜以上のどれにもあてはまらない場合

<早期発見のために>
制度としては、母子保険法により、各自治体では乳幼児検診や保健指導が義務付けられています。障害の発生予防のためには、乳幼児健康診断、先天性代謝異常等検査、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)のマス・スクリーニング、1歳6ヶ月児、3歳児の健康診断が実施され、知的障害についても障害の防止と早期発見が可能となりました。各種検診の結果異常が認められたときは、医療機関や児童相談所において、精密健康審査が実施されます。障害児のためには通園施設や入所施設があります。

<札幌市の場合>
札幌市では、各区の保健センターで、乳児、1歳6ヶ月児、3歳児の健康診断を行っています。このほか産科病院での検診や、先天性代謝異常の検査、心配のある人を対象にした乳幼児検診(再来)、言葉の遅れや友達と遊べないなどの精神面・心理面の相談に応じる乳幼児精神発達相談も行っています。検診を行い、その際に質問項目で心配個所があった場合や、特に心配なことがある場合には、専門の相談員が相談を受けることになっています。


戻る